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変化球聖書人物伝~アドニヤ
Author
mito
Date
2020-12-27 12:36
Views
2789
ダビデの王朝に対してクーデターを起こそうとした王子は2人いました。ひとりはアブサロム、もうひとりがアドニヤです。
アドニヤは、ダビデのいまわの際に、軍団長ヨアブや祭司エブヤタルを味方につけ、ダビデの王子たちを招き、王に即位しました。しかし、この即位はダビデから出たことではありませんでした。ゆえにこれは謀反、クーデターです。この即位式には預言者ナタン、のちの軍団長ベナヤ、そして実際に王になるソロモンは招かれませんでした。彼らはアドニヤにくみしなかったのでした(Ⅰ列1章8節)。しかし、ほんとうにダビデの信任を得ていたのは彼らであり、彼らによってイスラエルは保たれるべきでした。それを除いたアドニヤは、つまり、ダビデを差し置いて王座にのし上がるつもりだったのでした。実に大胆不敵でした。
しかし、このままではソロモンたちのいのちが危険にさらされていました。それをとどめたのは、ダビデの鶴の一言でした。次の王はソロモンである。そして、そのとおりにソロモンが正式に王に鼎立されると、アドニヤは身の危険を感じ、祭壇の角をつかんで命乞いをしました。神さまにすがったわけです。ソロモンはその行為に免じて、アドニヤを許してやりました(同50節~53節)。
しかし、ダビデは死の床から、アドニヤのクーデターの残党を一掃するように、ソロモンに知恵を授けます(同2章5節~9節)。ソロモンのいのちを狙う立場だったアドニヤは、いよいよいのちが危なくなったわけですが、ここでアドニヤは、意外なことを言いだします。それは、老いたダビデの世話をしていた絶世の美女(同1章3節)、それも男を知らないおとめ(同4節)、アビシャグを欲しい、ということでした。このことをアドニヤは、ソロモンの母バテ・シェバを通じてソロモンに申し出ました。王母の頼みならソロモンは断らない、という計算があったわけです(同2章16節、20節)。
しかしソロモンは、この願いは自分に対する謀反を意味している、ゆえにアドニヤは死刑になるべきであると判断しました(同22節)。そうです。王の後宮を欲しがるということは、自分が王になろうとすることを意味します。実際、アブサロムはクーデターの旗印としてダビデの後宮を奪い、ダビデはそれに対する制裁として、エルサレム帰還後、その後宮の側女たちを生涯幽閉しました(Ⅱサムエル16章、20章)。ソロモンは、アドニヤがアブサロムと同じことをするつもりであると判断し、これをアドニヤ処刑の口実としたと言えます。
しかし、もしかすると、アドニヤは国家転覆のような意志をもってアビシャグを欲しがったのではなく、単なる女好きでそう申し出ただけだったのかもしれません。しかしそれならそれで、やはりふさわしくないことで、彼の中には処刑されるだけの悪があったと判断されるべきことでした(Ⅰ列1章52節)。ソロモンには、700人の王妃と300人の側女がいたくらいで、ダビデの側女でしかも絶世の美女のおとめだったアビシャグをソロモンともあろう者がめとらないとは、考えられないことです。それを欲しいと言うことは、ソロモンの王権に挑戦するということであるのと同時に、一人の男から女を奪おうとする行為です。ソロモンも激怒するわけです。
そんな野望をいだいた者はしかし、「ご存じのように、王位は私のものでしたし、イスラエルはみな私が王になるのを期待していました。それなのに、王位は転じて、私の弟のものとなりました。主によって彼のものとなったからです」とも語っています(Ⅰ列2章15節)。このことばには、イスラエルの王座に対する未練たっぷりな態度とともに「主によって」と殊勝な表現が現れます。しかしこれは白々しいというものです。こんな俗物は主のみこころうんぬんを語るべきではありません。
王座を確立するという主のみこころに抗う者はいかなる理由があれ死ななければならなかった、というのがこの列王記第一のみことばの語るメッセージです。私たちは主のみこころに抗って、自分の意志を押し通そうとしてもいのちは落とさないかもしれません。しかし、やはりそれは大きな罪なのです。そのために大きな懲らしめに遭う前に、悔い改めて、自分の意志をみこころに従わせることのできる人は幸いです。「ですから、愚かにならないで、主のみこころが何であるかを悟りなさい。」(エペソ5章17節)
アドニヤは、ダビデのいまわの際に、軍団長ヨアブや祭司エブヤタルを味方につけ、ダビデの王子たちを招き、王に即位しました。しかし、この即位はダビデから出たことではありませんでした。ゆえにこれは謀反、クーデターです。この即位式には預言者ナタン、のちの軍団長ベナヤ、そして実際に王になるソロモンは招かれませんでした。彼らはアドニヤにくみしなかったのでした(Ⅰ列1章8節)。しかし、ほんとうにダビデの信任を得ていたのは彼らであり、彼らによってイスラエルは保たれるべきでした。それを除いたアドニヤは、つまり、ダビデを差し置いて王座にのし上がるつもりだったのでした。実に大胆不敵でした。
しかし、このままではソロモンたちのいのちが危険にさらされていました。それをとどめたのは、ダビデの鶴の一言でした。次の王はソロモンである。そして、そのとおりにソロモンが正式に王に鼎立されると、アドニヤは身の危険を感じ、祭壇の角をつかんで命乞いをしました。神さまにすがったわけです。ソロモンはその行為に免じて、アドニヤを許してやりました(同50節~53節)。
しかし、ダビデは死の床から、アドニヤのクーデターの残党を一掃するように、ソロモンに知恵を授けます(同2章5節~9節)。ソロモンのいのちを狙う立場だったアドニヤは、いよいよいのちが危なくなったわけですが、ここでアドニヤは、意外なことを言いだします。それは、老いたダビデの世話をしていた絶世の美女(同1章3節)、それも男を知らないおとめ(同4節)、アビシャグを欲しい、ということでした。このことをアドニヤは、ソロモンの母バテ・シェバを通じてソロモンに申し出ました。王母の頼みならソロモンは断らない、という計算があったわけです(同2章16節、20節)。
しかしソロモンは、この願いは自分に対する謀反を意味している、ゆえにアドニヤは死刑になるべきであると判断しました(同22節)。そうです。王の後宮を欲しがるということは、自分が王になろうとすることを意味します。実際、アブサロムはクーデターの旗印としてダビデの後宮を奪い、ダビデはそれに対する制裁として、エルサレム帰還後、その後宮の側女たちを生涯幽閉しました(Ⅱサムエル16章、20章)。ソロモンは、アドニヤがアブサロムと同じことをするつもりであると判断し、これをアドニヤ処刑の口実としたと言えます。
しかし、もしかすると、アドニヤは国家転覆のような意志をもってアビシャグを欲しがったのではなく、単なる女好きでそう申し出ただけだったのかもしれません。しかしそれならそれで、やはりふさわしくないことで、彼の中には処刑されるだけの悪があったと判断されるべきことでした(Ⅰ列1章52節)。ソロモンには、700人の王妃と300人の側女がいたくらいで、ダビデの側女でしかも絶世の美女のおとめだったアビシャグをソロモンともあろう者がめとらないとは、考えられないことです。それを欲しいと言うことは、ソロモンの王権に挑戦するということであるのと同時に、一人の男から女を奪おうとする行為です。ソロモンも激怒するわけです。
そんな野望をいだいた者はしかし、「ご存じのように、王位は私のものでしたし、イスラエルはみな私が王になるのを期待していました。それなのに、王位は転じて、私の弟のものとなりました。主によって彼のものとなったからです」とも語っています(Ⅰ列2章15節)。このことばには、イスラエルの王座に対する未練たっぷりな態度とともに「主によって」と殊勝な表現が現れます。しかしこれは白々しいというものです。こんな俗物は主のみこころうんぬんを語るべきではありません。
王座を確立するという主のみこころに抗う者はいかなる理由があれ死ななければならなかった、というのがこの列王記第一のみことばの語るメッセージです。私たちは主のみこころに抗って、自分の意志を押し通そうとしてもいのちは落とさないかもしれません。しかし、やはりそれは大きな罪なのです。そのために大きな懲らしめに遭う前に、悔い改めて、自分の意志をみこころに従わせることのできる人は幸いです。「ですから、愚かにならないで、主のみこころが何であるかを悟りなさい。」(エペソ5章17節)
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牧会コラム週報版 178 2024.3.17
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牧会コラム週報版 176 2024.3.3
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牧会コラム週報版 175 2024.2.25
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