コラム
新コラム・ザ・ゴスペル 2021年5月
Author
mito
Date
2021-05-01 20:16
Views
3122
「カルトから守られるために」
私は大学に入学したばかりのとき、危うく、あるカルト(異端)に引っ掛かりそうになったことがありました。学内に貼ってあった「スチューデント・バイブル・スタディ」なるチラシに書いてある電話して案内された「教会」で、複数回、一対一で講義を聴く仕組みになっていました。しかし私はその「教義」のあまりの怪しさに、2回通っただけで行くのをやめ、からくも引っ掛からずに済みました。
ただ、私が非常に気になったのは、その「教会」には、一般の(つまり異端ではない)教会出身の若者がとても多かったことです。つまりこのカルトは、既存の教会に対する不満の解消(多くの場合は、それまで充分な聖書の学びをさせてもらえなかった中で知的欲求が刺激されたという満足感)を売り物に、既存の教会から信徒を引き抜くということをしてきていたわけです。
これまで多くのキリスト教会は、「エホバの証人(ものみの塔)」、「モルモン教」、「統一協会」といったグループを警戒し、特にこの3団体と自分たちの教会が関係ないと標榜するトラクトやチラシをつくってきました。しかしこれらの団体は、かなりはっきりした特徴を持っているので、見分けるのは比較的難しくありません。怖ろしいのは、既存のクリスチャンを取り込む、新手のカルトです。
ただし、彼らの「教義」を冷静に検討すると、かなりそれはおかしく、聖書の教えとはきわめてかけ離れたものです。その「指導者」が再臨のキリストだなどと、考えようもありません。それなのになぜ多くのクリスチャンが引っ掛かり、それまで所属していた教会を離れてそれらのカルトに献身してしまうのでしょうか? 私は、これまでの自分の経験や、見聞きした話から綜合して思うことですが、そのカルトに出会ったクリスチャンが、「人間関係の濃密さ」を見て、それに魅力を感じてしまう、つまりその「濃密さ」を愛と錯覚するからではないかと思います。
ひとたび「人間関係の濃密さ」に魅力を感じ、そこにはまっていこうと決心した人には、いまさら正統な教義を説いて説得してみせようとしたところで無駄です。彼らが求めているのは、自分に関心を持ってくれる存在、もっと自分のことを生かし、用いてくれる存在、自分の生きる目的をはっきり指し示してくれる存在……悲しいことに、彼らにとってそれはカルトの集団なのです。
しかし、もっと怖ろしいことは、彼らカルトは私たち既存のキリスト教会を、はっきり、「壊滅させるべき『悪』」と考えて近づいてくるということです。カルトによっては、信徒をマインド・コントロールしたあげく、既存の教会に入り込ませ、別の既存の信徒の信頼を勝ち得て、時間をかけてその信徒を引き抜く、そればかりか、知らぬは牧師ばかりなりと、役員以下すべての信徒を抱え込み、ついには牧師を追放してまるごとその教会をカルトにしてしまう、それを何よりも素晴らしいことと考える。こういったことは韓国ですでにいくつも起こっていることで、うかうかしているとやがて日本でもそういうことが頻発するようになるかもしれません。
しかし、もし私たちがたとえうっかりでも、イエスさま以外の者を救い主と信じ告白するカルトにはまったら、それはイエスさまから離れ、悪の勢力の片棒を担ぐことであり、クリスチャンとしてこれほど不幸なことはありません。ですから私たちは、このようなカルトの魔の手から守られるために、普段から正統な教義を学び、身に着けておく必要があります。そうすることで私たちは、いざというときに彼らの切り出してくる怪しい教義から身を守ることができます。
しかし、その大前提は、正統の教義を学んでいることそのものではなく、いつでも異常なことがあったら相談し合える愛の関係、お互いのために普段から祈り合う関係が、教会の中にできていることです。もちろん、正統な教会の信徒をたぶらかすカルトがいちばん悪いに決まっていますが、もし自分たちにそのカルトに立ち向かえるだけの愛がないと気づいたら、教会はもっと反省し、イエスさまがみことばで説いておられる愛の共同体を形づくるように、私たちは努める必要がありましょう。それこそが、私たちをカルトから守るうえでの最もふさわしい道です。
私は大学に入学したばかりのとき、危うく、あるカルト(異端)に引っ掛かりそうになったことがありました。学内に貼ってあった「スチューデント・バイブル・スタディ」なるチラシに書いてある電話して案内された「教会」で、複数回、一対一で講義を聴く仕組みになっていました。しかし私はその「教義」のあまりの怪しさに、2回通っただけで行くのをやめ、からくも引っ掛からずに済みました。
ただ、私が非常に気になったのは、その「教会」には、一般の(つまり異端ではない)教会出身の若者がとても多かったことです。つまりこのカルトは、既存の教会に対する不満の解消(多くの場合は、それまで充分な聖書の学びをさせてもらえなかった中で知的欲求が刺激されたという満足感)を売り物に、既存の教会から信徒を引き抜くということをしてきていたわけです。
これまで多くのキリスト教会は、「エホバの証人(ものみの塔)」、「モルモン教」、「統一協会」といったグループを警戒し、特にこの3団体と自分たちの教会が関係ないと標榜するトラクトやチラシをつくってきました。しかしこれらの団体は、かなりはっきりした特徴を持っているので、見分けるのは比較的難しくありません。怖ろしいのは、既存のクリスチャンを取り込む、新手のカルトです。
ただし、彼らの「教義」を冷静に検討すると、かなりそれはおかしく、聖書の教えとはきわめてかけ離れたものです。その「指導者」が再臨のキリストだなどと、考えようもありません。それなのになぜ多くのクリスチャンが引っ掛かり、それまで所属していた教会を離れてそれらのカルトに献身してしまうのでしょうか? 私は、これまでの自分の経験や、見聞きした話から綜合して思うことですが、そのカルトに出会ったクリスチャンが、「人間関係の濃密さ」を見て、それに魅力を感じてしまう、つまりその「濃密さ」を愛と錯覚するからではないかと思います。
ひとたび「人間関係の濃密さ」に魅力を感じ、そこにはまっていこうと決心した人には、いまさら正統な教義を説いて説得してみせようとしたところで無駄です。彼らが求めているのは、自分に関心を持ってくれる存在、もっと自分のことを生かし、用いてくれる存在、自分の生きる目的をはっきり指し示してくれる存在……悲しいことに、彼らにとってそれはカルトの集団なのです。
しかし、もっと怖ろしいことは、彼らカルトは私たち既存のキリスト教会を、はっきり、「壊滅させるべき『悪』」と考えて近づいてくるということです。カルトによっては、信徒をマインド・コントロールしたあげく、既存の教会に入り込ませ、別の既存の信徒の信頼を勝ち得て、時間をかけてその信徒を引き抜く、そればかりか、知らぬは牧師ばかりなりと、役員以下すべての信徒を抱え込み、ついには牧師を追放してまるごとその教会をカルトにしてしまう、それを何よりも素晴らしいことと考える。こういったことは韓国ですでにいくつも起こっていることで、うかうかしているとやがて日本でもそういうことが頻発するようになるかもしれません。
しかし、もし私たちがたとえうっかりでも、イエスさま以外の者を救い主と信じ告白するカルトにはまったら、それはイエスさまから離れ、悪の勢力の片棒を担ぐことであり、クリスチャンとしてこれほど不幸なことはありません。ですから私たちは、このようなカルトの魔の手から守られるために、普段から正統な教義を学び、身に着けておく必要があります。そうすることで私たちは、いざというときに彼らの切り出してくる怪しい教義から身を守ることができます。
しかし、その大前提は、正統の教義を学んでいることそのものではなく、いつでも異常なことがあったら相談し合える愛の関係、お互いのために普段から祈り合う関係が、教会の中にできていることです。もちろん、正統な教会の信徒をたぶらかすカルトがいちばん悪いに決まっていますが、もし自分たちにそのカルトに立ち向かえるだけの愛がないと気づいたら、教会はもっと反省し、イエスさまがみことばで説いておられる愛の共同体を形づくるように、私たちは努める必要がありましょう。それこそが、私たちをカルトから守るうえでの最もふさわしい道です。
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