コラム
ホーム / コラム
新コラム・ザ・ゴスペル 2021年4月
Author
mito
Date
2021-03-28 13:35
Views
1940
「独身の賜物を考える」
3月26日午後3時、私ども夫婦が長年お世話になってきた婦人宣教師、李貞姫(イ・ジョンヒ)先生が、闘病のすえに天の御国に帰られました。
私が李先生とともに東京の韓国人教会、「千駄木キリスト教会」(のちに千住大橋に移転して「東明国際キリスト教会」と改称)で教職者として奉仕したのは2006年から数年間のことで、当初私は交際相手もいない独身の伝道師でした。李先生はご自身の結婚もそっちのけで、そんな私のことを考えてくださり、先生が所属する宣教団体の総会が関西で開かれたとき、その宣教団体の現地訓練コースで宣教師になる準備をしていた妻と知り合われ、教会の同労者であった私のことを紹介してくださいました。
その頃、多くの牧師先生方が私のもとに、お見合いをほのめかすような話を持ってこられたものでした。しかし、それらの話はまず長続きしませんでした。それは、その姉妹たちに、私よりももっとふさわしいお相手がいたということであり、先生方もそれ以上私のために本気で動かれなかったからだと思います。しかし李先生だけはちがいました。ほんらい、妻を含めて訓練生はコースを外れて勝手にどこか遠くに行くことなど許されませんでしたが、李先生はコースの責任者を説得までして頑張ってくださり、妻を関西から東京に呼び寄せてくださいました。そこから交際が始まったことを考えると、私はまったく、李先生に足を向けて寝られなかったものでした。
李先生は、私ども夫婦が仲睦まじくしているのをご覧になるたび、ほんとうにうれしそうでしたが、私どもは最後まで、李先生こそ結婚してお幸せになっていただきたいと願いました。
第一コリントの7章を読みますと、パウロは、自分が独身であることを語りつつ、みなが自分のようであることを願う、つまり、独身であることを願う、と述べ、もし結婚するならば、神さまにのみ向けるべき心が分かれたり、身に災いを招いたりする、と戒めてもいます。この箇所から、教会は伝統的に「独身の賜物」という主のお導き(と自分たちが見なすもの)を推論し、宗教改革以前の教会の流れでは献身者に独身を強いてきましたが、宗教改革以降、プロテスタントにおいて献身者の結婚はむしろ奨励されるものになりました。
李先生がそうであったように、婦人の献身者は多くの方が、結婚する機会が巡り合わないまま献身生活を続けざるをえません。そんな献身者の思いを知ってか知らずか、周囲は、特定のお相手の候補も挙げられないのにやたら結婚を勧めてみせたり、そうかと思えば、人前で、この先生はイエスさまと結婚した花嫁ですなどと持ち上げてみせたりします。このような独身の先生方は、自分には独身の賜物があるのだから、と、ご自身を鼓舞してこられたことでしょう。実際、その先生がある程度の年齢になられたら、周囲もまた、この先生には独身の賜物があるなどと公言したり、公言しなくても心の中で思ったりするわけです。私もそのようなひとりでした。しかしこのたびの李先生の召天で、私が本気で李先生のご結婚を祈ることも、そのために具体的に行動することもしてこなかったことを示され、いま心から恥じ、悔い改めさせられています。ほんとうに、李先生には申し訳ないことをしました。
思うに、独身の賜物というものは、神さまと人との一対一の関係の中で確信されるべきもので、しかしそういう人も結婚する機会があるならば、みこころだからと意地を張らずに、結婚していいのだと思います。少なくとも周囲の人たちは、ある程度の年齢に達した信仰者が独身だからと、その人には独身の賜物があるなどと、軽々しく口にすべきでないのだと考えます。
もし、いま結婚を祈り求める心が起こされていらっしゃるならば、その方は、それでも自分は独身に召されているかもしれない、と、消極的にならないでいただきたいと思います。おうちのこと、仕事のこと、自分の性格のこと、考え出すと結婚に踏み切ろうとする勇気はそがれる一方です。まずは、みこころならば必ず遂げさせてくださると信仰を働かせて、一歩を踏み出していただきたいと思います。教会全体もそのような方を覚えて祈りましょう。
最後に、私たちクリスチャンにとって結婚とは、キリストと教会の相愛関係をこの地上で実現する営みです。結婚というあり方が崩壊するケースが跡を絶たないこの地上において、私たち教会こそが結婚のすばらしさを現す責任があります。教会から麗しい結婚の証しがなされていくように、ともに祈ってまいりましょう。
3月26日午後3時、私ども夫婦が長年お世話になってきた婦人宣教師、李貞姫(イ・ジョンヒ)先生が、闘病のすえに天の御国に帰られました。
私が李先生とともに東京の韓国人教会、「千駄木キリスト教会」(のちに千住大橋に移転して「東明国際キリスト教会」と改称)で教職者として奉仕したのは2006年から数年間のことで、当初私は交際相手もいない独身の伝道師でした。李先生はご自身の結婚もそっちのけで、そんな私のことを考えてくださり、先生が所属する宣教団体の総会が関西で開かれたとき、その宣教団体の現地訓練コースで宣教師になる準備をしていた妻と知り合われ、教会の同労者であった私のことを紹介してくださいました。
その頃、多くの牧師先生方が私のもとに、お見合いをほのめかすような話を持ってこられたものでした。しかし、それらの話はまず長続きしませんでした。それは、その姉妹たちに、私よりももっとふさわしいお相手がいたということであり、先生方もそれ以上私のために本気で動かれなかったからだと思います。しかし李先生だけはちがいました。ほんらい、妻を含めて訓練生はコースを外れて勝手にどこか遠くに行くことなど許されませんでしたが、李先生はコースの責任者を説得までして頑張ってくださり、妻を関西から東京に呼び寄せてくださいました。そこから交際が始まったことを考えると、私はまったく、李先生に足を向けて寝られなかったものでした。
李先生は、私ども夫婦が仲睦まじくしているのをご覧になるたび、ほんとうにうれしそうでしたが、私どもは最後まで、李先生こそ結婚してお幸せになっていただきたいと願いました。
第一コリントの7章を読みますと、パウロは、自分が独身であることを語りつつ、みなが自分のようであることを願う、つまり、独身であることを願う、と述べ、もし結婚するならば、神さまにのみ向けるべき心が分かれたり、身に災いを招いたりする、と戒めてもいます。この箇所から、教会は伝統的に「独身の賜物」という主のお導き(と自分たちが見なすもの)を推論し、宗教改革以前の教会の流れでは献身者に独身を強いてきましたが、宗教改革以降、プロテスタントにおいて献身者の結婚はむしろ奨励されるものになりました。
李先生がそうであったように、婦人の献身者は多くの方が、結婚する機会が巡り合わないまま献身生活を続けざるをえません。そんな献身者の思いを知ってか知らずか、周囲は、特定のお相手の候補も挙げられないのにやたら結婚を勧めてみせたり、そうかと思えば、人前で、この先生はイエスさまと結婚した花嫁ですなどと持ち上げてみせたりします。このような独身の先生方は、自分には独身の賜物があるのだから、と、ご自身を鼓舞してこられたことでしょう。実際、その先生がある程度の年齢になられたら、周囲もまた、この先生には独身の賜物があるなどと公言したり、公言しなくても心の中で思ったりするわけです。私もそのようなひとりでした。しかしこのたびの李先生の召天で、私が本気で李先生のご結婚を祈ることも、そのために具体的に行動することもしてこなかったことを示され、いま心から恥じ、悔い改めさせられています。ほんとうに、李先生には申し訳ないことをしました。
思うに、独身の賜物というものは、神さまと人との一対一の関係の中で確信されるべきもので、しかしそういう人も結婚する機会があるならば、みこころだからと意地を張らずに、結婚していいのだと思います。少なくとも周囲の人たちは、ある程度の年齢に達した信仰者が独身だからと、その人には独身の賜物があるなどと、軽々しく口にすべきでないのだと考えます。
もし、いま結婚を祈り求める心が起こされていらっしゃるならば、その方は、それでも自分は独身に召されているかもしれない、と、消極的にならないでいただきたいと思います。おうちのこと、仕事のこと、自分の性格のこと、考え出すと結婚に踏み切ろうとする勇気はそがれる一方です。まずは、みこころならば必ず遂げさせてくださると信仰を働かせて、一歩を踏み出していただきたいと思います。教会全体もそのような方を覚えて祈りましょう。
最後に、私たちクリスチャンにとって結婚とは、キリストと教会の相愛関係をこの地上で実現する営みです。結婚というあり方が崩壊するケースが跡を絶たないこの地上において、私たち教会こそが結婚のすばらしさを現す責任があります。教会から麗しい結婚の証しがなされていくように、ともに祈ってまいりましょう。
Total 150
Number | Title | Author | Date | Votes | Views |
150 |
牧会コラム週報版 131 2023.4.2
mito
|
2023.04.09
|
Votes 0
|
Views 122
|
mito | 2023.04.09 | 0 | 122 |
149 |
牧会コラム週報版 130 2023.3.26
mito
|
2023.04.09
|
Votes 0
|
Views 122
|
mito | 2023.04.09 | 0 | 122 |
148 |
牧会コラム週報版 129 2023.3.19
mito
|
2023.04.09
|
Votes 0
|
Views 108
|
mito | 2023.04.09 | 0 | 108 |
147 |
牧会コラム週報版 128 2023.3.12
mito
|
2023.03.12
|
Votes 0
|
Views 134
|
mito | 2023.03.12 | 0 | 134 |
146 |
牧会コラム週報版 127 2023.3.5
mito
|
2023.03.12
|
Votes 0
|
Views 132
|
mito | 2023.03.12 | 0 | 132 |
145 |
牧会コラム週報版 126 2023.2.26
mito
|
2023.02.26
|
Votes 1
|
Views 177
|
mito | 2023.02.26 | 1 | 177 |
144 |
牧会コラム週報版 125 2023.2.19
mito
|
2023.02.19
|
Votes 0
|
Views 150
|
mito | 2023.02.19 | 0 | 150 |
143 |
牧会コラム週報版 124 2023.2.12
mito
|
2023.02.13
|
Votes 0
|
Views 177
|
mito | 2023.02.13 | 0 | 177 |
142 |
牧会コラム週報版 123 2023.2.5
mito
|
2023.02.13
|
Votes 0
|
Views 139
|
mito | 2023.02.13 | 0 | 139 |
141 |
牧会コラム週報版 122 2023.1.29
mito
|
2023.02.13
|
Votes 0
|
Views 139
|
mito | 2023.02.13 | 0 | 139 |