牧会コラム週報版 178 2024.3.17
「弟子がしくじるとき」
来週金曜日は受難日です。今週と来週、このコーナーでは主の受難にまつわるお話をしましょう。
イエスさまを逮捕しに来た兵士たちに向かって、ペテロは蛮勇を振るい、そのうちのマルコスという兵士に剣で斬りかかり、その耳を切り落としました。イエスさまはそんなペテロを戒め、この受難を苦い杯を受けることと表現され、彼らの手にご自身をゆだねられました。
ここで注目すべきことは、ルカの福音書によれば、イエスさまがマルコスの耳を癒されたことです。これは、単なる癒し以上の意味があります。ペテロのしたことは傷害罪であり、ペテロまで引いていかれることにもなるでしょう。しかも、イエスさまが罪なくて十字架におかかりになるという大事なことに、弟子のとんだしくじりで大きな傷がつくことになります。イエスさまの癒しのみわざは、そのような不始末によってペテロがさばかれ、それ以上に神の栄光に影響が及ぶことを、一挙に解決するものでした。
私たちも主のために「よかれ」と思ってすることが、実は不始末を生んでしまうということはあるものです。私たちはつねに主に従順でありたいと願い、また、それに見合った行動を取るべく、毎日QTをして、聖書通読をして、お祈りをするものですが、それでもみこころを誤って受け取り、結果、大きなしくじりをしてしまう……そういうことはあります。
しかし、あきらめてはなりません。イエスさまに赦され、その不始末を解決していただいたペテロは、イエスさまに導いていただいたという点で、私たちのモデルです。福音書のペテロを見ていると、大言壮語する者であるし、ほかの弟子を差し置いてでもイエスさまに認められようとするような厚かましさもありますし、しかも自分の考えに合わないとイエスさまにお説教をしだすような傲慢さ、無理解さまで備えています。これは、私たち教会の兄弟姉妹の群像を、そのままひとりで象徴しているようなキャラクターではないでしょうか。私たちもしくじりますが、そのしくじりに至るまで、イエスさまは責任をもって、私たちをたえず導いてくださいます。主のこの恵みに感謝しましょう。
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