牧会コラム週報版 174 2024.2.18
「二種類の愛国心」
先週に引きつづき、愛国心に関するお話です。私は長年、日韓両国に関わり、そのために、良きにつけ悪しきにつけ、両国間に関係する様々なニュースに触れたり、いろいろな立場の人に会ってきたりしてまいりました。それでわかってきたことは、日本人にせよ韓国人にせよ、およそ愛国心を強調する人のその「愛国心」なるものには、二種類あるということです。
私はそれらにそれぞれ、「相対的愛国心」、「絶対的愛国心」と名づけたいと思います。まず、「相対的愛国心」のほうですが、これは、他国(多くの場合、日本にとっては中国・韓国・北朝鮮)を徹底してこき下ろし、相対的に自国の存在価値を上げようとする思想です。これはインターネットニュースにコメントを寄せたがるタイプの人に多く、日本語サイトで韓国に関する、あるいは韓国語サイトで日本に関するニュースを読むと、相手の国や民族をけなすコメントが目につきますが、そういうことを言う人は「相対的愛国心」の持ち主といえます。
これに対する「絶対的愛国心」は、自国を愛する点ではもちろん同じですが、その愛国心は他国や他民族との比較による不安定なものではなく、神さまから与えられた国と民族ゆえに愛するという、神との関係に根差したものです。他国や他民族に対するリスペクトも、神さまが彼らを愛しておられることを根拠に、ことばと態度でしっかり実践します。
イエスさまはエルサレムのために涙を流された、ほんとうにイスラエルを愛する「愛国者」でした。しかしイエスさまは、サマリアの女性に伝道されたり、シリア・フェニキアの女性の娘をいやされたりして、純粋なイスラエルならざる民族を差別し、排除するのが当然という偏狭な愛国心(相対的愛国心)を否定されました。イエスさまにならうならば、私たちは相対的愛国心をもって他国、とりわけ隣国を差別したり嫌ったりするのではなく、絶対的愛国心をもって、日本を愛するゆえにすべての国と民族を愛してしかるべきなのではないでしょうか。これからも私たちは、日本人クリスチャンにふさわしい愛国心を考え、身に着けてまいりましょう。
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