コラム

牧会コラム週報版 102 2022.9.4

Author
mito
Date
2022-09-12 16:51
Views
1272
以前働いていた教会で、タクシーの運転手の日本人信徒から聞いた話ですが、お客さんとの会話で避けるべき話題が「政治・宗教・野球」なのだそうです。なるほど、タクシーはどんな政治信条を持つ人であれ、どんな宗教の人であれ、どこのプロ野球チームのファンであれ、手を挙げて乗ってくるお客さんを選ぶことはできません。そしてこの手の話題を避けることはタクシー業界にかぎらず、こと日本においては、ビジネスその他一般の世界でも、常識的なマナーになっています。

おそらく、外見が似ているようでもその国民性が大きく異なる、日本人と韓国人の最大のちがいは、こういったことを積極的に話題にするかどうかではないかと思います。日本人が自分の価値観を左右するような赤裸々な話題を避けるのは、島国に生きた長年の民族としての知恵に由来するものと思いますが、21世紀、国際化が進んでいくと、日本人は、自国の常識が必ずしも世界の常識とはかぎらないことに気づかされ、自分たちも世界に出ていき、また、世界も日本に入り込むようになって、否が応でも世界と伍していくために、自分たちが後生大事にしている価値観、そう、自分の思想信条を人に熱く語ることは厚かましい悪いことだ、と決めつけることを、再考するようになるのではないかと思います。

キリスト教会は、被造物としての世界の民のスタンダードを示す、最高の共同体です。それは、島国として独自の発展を遂げた日本にしても例外ではありません。したがって、「みことばを宣べ伝えなさい」というみことばは、国民性、民族性に関係なく、日本のクリスチャンも守り行うべきことです。しかし、もし、日本のクリスチャンたちが、自分たちの信仰を積極的に語らない「奥ゆかしさ」を捨てることに尻込みしてしまうならば、いっそのこと、海外の教会からの力をなお積極的に借りることをするのも、有り、ではないかと考えます。私は教会に導かれた最初から、自らの信仰を熱く語る海外出身のクリスチャンとたくさん交わってきて、むしろ日本の「奥ゆかしい」クリスチャンのことを知らないくらいでした。外国人のクリスチャンは、その放つ雰囲気からして、堂々とクリスチャンとして異教社会の日本で通用します。海外文化へのあこがれを抜きがたく持つ日本人の中には、実は彼らのようになりたいと思う人もたくさんいるのではないでしょうか。ここからも日本宣教は可能性が見えてくると思います。
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