牧会コラム216「サードプレイス？」

スターバックスコーヒーの世界的な成功をもたらしたコンセプトは「サードプレイス」というあり方だったそうです。家庭でも職場でもない「第三の場所」としての居心地のよさをお客さんに提供できたこと、これが成功の秘訣だったわけです。

　さて、それでは教会という場所は、「サードプレイス」なのでしょうか。ある方にとってはそういう場所として機能していると思います。職場はもちろん、家にいても気が休まらない方にとって、教会は一定の、オアシスのような役割を果たしている側面はあります。しかし、最も理想的なあり方として私たちが教会というものをとらえるならば、それはやはり「ファーストプレイス」、すなわち「第一の場所」ではないでしょうか。

　それは、宣教の究極の目標は、一人の人が救われること、しかし、それにとどまらず、そこから、その人の家族全体が救われることであるからです（使16：31）。そして、その、救われてもろともキリストのからだの枝となった家族全体は、礼拝において御前に出て、そして、教会の共同体という、自分の家族よりもさらに大きな「霊的な拡大家族」にて交わりをもって、みことばの糧をを分かち合うことで、ともに神の愛を体験するのです。

　ここまでになるには、ご家族によっては、かなりの困難を要することかもしれません。ご家族全体どころか、おひとりが礼拝に集うことさえもままならない、という状況にあるならば、家族で「ファーストプレイス」として礼拝にて御前に出ることを願ってはいるものの、実際は「サードプレイス」として休まる場所にしたい、と願われるのも、ごもっとも、と思います。

　しかし、そんな私たちは、考え方のパラダイムを変えてみてはいかがでしょうか。肉の家族に属する者という点においてはたしかに教会を「サードプレイス」として機能させているかもしれない。しかしほんとうは、霊の家族の一員として、帰ってくるべき「ファーストプレイス」に来ているのだと。主の御目にはそうあるものでしょう。教会を私たちの「ファーストプレイス」として、大事にしましょう。