牧会コラム215「聖書に学ぶ結婚その9」

　「アキラとプリスカ、また彼らの家にある教会が、主にあって心から、あなたがたによろしくと言っています。」（Ⅰコリ16：19）

　第一コリントの7章でキリスト者の結婚のあり方について述べたパウロが、同書の末尾の章で言及している「アキラとプリスカ（プリスキラ）」は、もともとがコリント宣教時代におけるパウロの同労者で、パウロとともに天幕職人をしていたほどの関係を持っていました（一般の仕事をしながら教会や宣教のために働く献身者を英語で「テントメーカー」と呼ぶのはここから来ています）。この夫婦が具体的にどのようにパウロの働きを助けたのかについては、天幕職人を一緒にしていたという聖書の記述以外に、具体的に知ることは困難です。しかし、パウロがこうして書簡の中で数度にわたってこの夫婦について言及していることから、夫婦がどんなにパウロの助けとなっていたかを推し量ることができます。

　クリスチャンにとっての結婚は、もちろん、麗しいクリスチャンホームを形づくることによって、この世に対して神の愛のかたちを示し、キリストを証しするという使命も持っています。しかし、それと同じくらい大切な使命は、夫婦で協力して、キリストのからだなる教会を形づくり、直接的にキリストを宣べ伝える働きに献身することではないでしょうか。この日本にも、そのようにして主に用いられたいと願い、もろとも主に献身する夫婦がもっと増やされるならば、宣教のわざは劇的に前進するにちがいありません。

　このたび教会から送り出す働き人は、直接献身者の家族として新たな歩みを始められるわけですが、この世における福音宣教と教会形成のわざにおいて、直接献身者の存在が必須である一方で、あらゆるキリスト者がすべからく、フルタイムの献身者になるべきだと求められているわけではありません。一般の仕事に就いていても充分に、人は献身者になることができます。その歩みをする上で、助け合いながらその目的を達成するために励まし合い、励み合える、配偶者の存在はきわめて重要です。配偶者とその歩みができるように祈り求めていただきたいゆえんです。