牧会コラム212「聖書に学ぶ結婚その6」

「すでに結婚した人たちに命じます。命じるのは私ではなく主です。妻は夫と別れてはいけません。もし別れたのなら、再婚せずにいるか、夫と和解するか、どちらかにしなさい。また、夫は妻と離婚してはいけません。」（Ⅰコリ7：10～11）

　前回のコラムの繰り返しになりますが、私たちはこの箇所を、律法主義的にふりかざして、離婚したり、再婚したりした人をさばくために用いてはなりません。こういう経験をされた方々が教会の中でまで肩身の狭い思いをなさるようなことは、あってはなりません。

　しかしこのみことばは、結婚というものが軽んじられる風潮にあるこの世において（男女交際のけじめがなっていなかった大都市コリントなど特にそうだったことでしょう）、結婚における純潔を守るべきクリスチャンである私たちに、釘を刺す役割をしています。不倫や家庭内暴力のような、そもそも婚姻関係を破壊するような行為を配偶者が行うとか、そういうのではなく、単なる性格の不一致や好き嫌いで離れたり、くっついたり、といったことは、少なくともクリスチャンならば、軽々しくしてはならないことです。なぜならば結婚というものは、私たちのために十字架で血潮を流してくださって、その代価によって私たちのことを贖って（買い取って）くださった、イエス・キリストと、私たち教会との契約関係をこの世において具現するものだからです。

　契約というものはひとたび結ばれたら、そうやすやすと破ってはならないわけです。そうでないならばこの社会の秩序は一切、成り立たないことになってしまいます。結婚も「紙切れ一枚」なんてよく言われますが、この言い方はやめるべきではないでしょうか。イエスさまの十字架の血潮の契約を象徴する契約を「紙切れ」とは何事でしょうか。結婚というこの契約によって立てられる秩序は、神の国の秩序となり、社会をみこころにかなうように導いていくための秩序となってしかるべきです。

　それでも人のことですから、それが果たせずに傷つく方もどこかで出てきてしまうことは否めません。そんなとき私たちは考えましょう。イエスさまはそういう方々に、とてもやさしいお方なのだと。